振動溶着工法の利点


超音波では実現困難なアプリケーションのために開発された、振動溶着機


超音波溶着機は設備費が安価で、ランニングコストも少なく、非常に短時間で溶着できる非常によい工法ですが、万能な溶着機ではございません。


実はブランソンの歴史において、超音波で難しいアプリケーションに対応するために開発されたのが、振動溶着機なのです。


超音波溶着の限界

機械的な超音波振動を利用して溶着しますので、その工具となるホーンという振動をワークに伝える工具が必要となってきます。

ホーンは高い周波数で共振振動します。色々な形状バリエーションはあるのですが、形状自由度が少なく大きさや形状に制限が出てきてしまいます。アプリケーションの形状や大きさによってはホーンが成立しないという事もでてきます。


また超音波溶着は、超音波振動をワークに伝搬させていく工法ですが、例えば、PPの様な軟質材の溶着になると、樹脂内で振動が減衰してしまい溶着部まで振動が伝達しないため、溶着が困難なアプリケーションがあります。また、超音波振動による非常に高い加速度Gが、ワークの材質などによってはダメージを与えてしまう懸念があります。


超音波で溶着が成立しないアプリケーションでも、振動溶着なら解決できる場合があります

その点、振動溶着は治具でワークをしっかりとグリップして大きな振動を与え摩擦溶着する工法となりますので、大型で3D形状への溶着成立性が高く、PPのような軟質材でも容易に溶着が可能です。


また発生する加速度も超音波に比べはるかに低く 製品自体、内部部品へのダメージが少ない工法でもあります。


超音波もツボにはまれば非常に生産性が高い良い工法ですが、超音波で難しそうな大きなワークや軟質材のご検討がありましたら振動溶着をご検討ください。


熱板溶着の特徴

熱板溶着機は融点が低い樹脂には向いていてかつ形状自由度が高い工法となりますが、エンジニアリングプラスチックのような高融点の樹脂の溶着に向いていません。


樹脂へ与える温度が高すぎると、炭化や発泡して樹脂が劣化してしまったり、与える温度が低いとヒータを抜いてから圧着までに溶着界面が冷えて固まってうまく溶着されず強度不足やリークをおこします。


またランニングコストも悪い設備になります。絶えず電気を使って熱板をヒーティングしていないとならない、樹脂によっては熱板に引っ付いてしまって樹脂の糸引きの問題があるので定期的にテフロンコーティングを熱板に施すし対策する必要があります。


またマシンタクトも1分弱とあまり早い溶着工法ではございません。


振動溶着の利点

振動溶着は、熱源で樹脂へ熱を与える工法ではなく、摩擦熱で樹脂自体が発熱する工法となります。溶着界面では、摩擦発熱により樹脂が融点に達して溶けると、すぐに溶着界面から排出されてバリとなり、新たな樹脂が溶着界面に供給される、というプロセスを繰り返し行います。そのため樹脂の融点近くで温度が安定し、樹脂が劣化する温度までは上がりにくい工法となり、均一に安定した溶着強度が期待できます。特にガラス強化した高融点のエンプラでも非常に安定して溶着が出来ます。


また成型品が変形している場合、熱板溶着機では熱板へのコンタクトの仕方により樹脂の温まり方が変わりバラつきますが、振動溶着機は絶えず振動溶着治具で加圧しワークを矯正しながら溶着しますので成型品の変形にも強い工法です。


また振動溶着はマシンタクトも20秒程度と非常に高い生産タクトで動き、数秒間振動中のみに大きな電力を消費するだけなので非常に生産性が高い溶着機です。


振動溶着のデメリットは樹脂が融点に達するまでに粉バリがどうしても発生します。熱板はコンタミが発生しません。(なお、粉バリは弊社CVT工法で解決できます。詳しくはお問い合わせください。)

溶着後の高い清浄度が必要でないアプリケーションにおいてはぜひ振動溶着をご検討ください。

三次元形状の製品の場合

三次元形状の製品はどの方向で振動させるかを考える必要があります。


振動に対して動かない2回折れ曲がったような形状はNGですが


下図のような製品一軸に変形した製品ならば 下図のような製品だと矢印の方向に振動させることができて溶着が可能です。


複雑な3D形状でも振動ができるように製品の分割ラインを考えていただくことにより、振動溶着をいろいろな形状に対応させることが可能です。

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