改修と再生可能エネルギーにより、グリッドのスマート化とサステナビリティを促進
壊滅的な気候変動を回避するためのカーボンフットプリント削減というプレッシャーの高まりに直面した産業の多くは、既存インフラの全面的な刷新を検討しています。 再生可能エネルギーおよび電化施設にとって朗報なのは、現在、既存インフラを変革してオペレーションの大幅な改善と廃棄物の削減を可能にする技術が新しく生まれていることです。 これらの歩みは最初はごく小幅に思えるかもしれませんが、複数の施設で次第に変化が積み重なると、変革であることが自ずとわかります。
国際エネルギー機関(IEA)の報告によれば、2015 年のパリ協定の想定どおり 2050 年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するには、クリーン・エネルギー・システムの大規模展開だけではなく、「エネルギー効率を高めようとする世界全体での大規模な動き」が必要です。 地球の人口が現在より 20 億人以上増えると予測される 2050 年に、総エネルギー消費量が現在のレベルより 8 % 低くなるよう「エネルギー強度」を高めることが目標です。
「再生可能エネルギーと電気化は炭素排出量削減に最大の貢献をしますが、ネット・ゼロ・エミッションを達成するには、幅広い対策と技術が必要です」と IEA 報告書は述べています。
言い換えれば、大きな修正を 1 つだけ行えば良いわけではありません。 CO2 の分離回収とグリーン水素技術の分野では、将来有望なイノベーションが見られてきましたが、長期にわたって拡張可能にはならない可能性があります。 ただし、水力から風力、バイオマスまで、新しいエネルギー源の開発を促進できる技術がすでに数多く存在しています。
削減、再利用、改修: 既存の電力施設で効率改善を模索
良いニュースは、既存の電力インフラストラクチャを最新化すると、効率を大幅に改善することができる点です。 テクノロジーのおかげで、顧客は信頼できて費用対効果も高い方法で再生可能エネルギーを電力網に統合するニーズに対応できます。
多くの市場で風力および太陽光発電が急速に追加されているため、既存の電力網との接続において多少の困難に直面しています。 スマートグリッド技術を採用すると、再生可能エネルギーを従来の送電網に統合することが可能になり、化石燃料への依存度を減らす一方、風力や太陽光に伴う間欠性への対処にも役立ちます。
アリゾナ州の Salt River Project では、エマソンのスマート・グリッド・ソリューションを利用して、ソーラーパネル、風力タービン、コジェネレーションプラントによって生成される急成長中の分散型エネルギーを統合し、双方向電力フローを処理することで、100 万人の顧客に信頼できるますますクリーンな電力を確保しています。
アラスカ北部の農村地域において、ゴールデンバレー電力協同組合(GVEA)は、同州最大の風力発電所であり、最も過酷な気象条件の一つにさらされるEva Creekを運営しています。 エマソンのサステナブルなグリッドソリューションを活用することで、同電力会社は、より高精度な需要予測および給電運用を通じて、気候変動の最前線にある地域社会に対し、低コストの再生可能エネルギーを安定的に供給することを可能にしています。
「エマソンは、アラスカ北部のお客様がクリーンエネルギーを利用しやすくなるようにするという目標において重要な協力者です」と GVEA 電力供給担当バイスプレジデントの Frank Perkins 氏は語っています。 「共通のオートメーションプラットフォームに投資することで、より多くの再生可能エネルギーを効率的に組み込み、カーボンフットプリントを最小限に抑えることができます」
テクノロジーのアップグレードにより、「GVEA は発電から計量まで、電力システム全体のオペレーションを最適化する体制を整えました」とエマソンの電力および水ソリューション事業部の社長、Bob Yeager は語っています。
風力タービンの改造
スマート・グリッド・ソリューションに加え、ウィンドファームの所有者とオペレータは、風力タービン制御と最適化ソフトウェアを最新化することにより、再生可能な風力発電オペレーションをデジタルに変換し、年間エネルギー生産量を増加させることができます。
現在、風力タービンの推定耐用年数は 20 年で、受ける風力の強さに応じて数年の誤差があります。 離れた場所や過酷な条件に設置されたタービンは、運用コストと保守コストが上昇し、タービンの使用年数に応じて年間コストの最大 35% に達します。 現在、ほとんどの風力発電事業者では、タービン固有のメンテナンス計画のカスタマイズに役立つ詳細なデータを提供する新型オートメーションシステムが不足しているため、今後のメンテナンスニーズの予測が難しくなっています。
老朽化した風力タービンを新しい技術で改修すると、迅速、安全に低コストで運用年数を延ばし、パフォーマンスを強化して、運用コストと保守コストを削減することができます。 改修戦略は、こうした課題に対応するようカスタマイズし、周辺環境、風速、陸上地形、海底地形などの要因に基づいて設計を変更することができます。 風力タービンまたはウィンドファームの技術とソフトウェアをアップグレードすることにより、所有者とオペレータは、機器の健全性と最適化の機会についてより深い洞察を得て、より多くの情報の確認、さらなるコスト節約、生産性向上が可能になります。 また、既存のタービンの耐用年数を延ばすことにより、所有者とオペレータは、新しいタービンへのわずかな投資により、より多くのエネルギー生産量と収益を得ることができます。
エマソンの GVEA デジタルトランスフォーメーション・プロジェクトでは、エヴァ・クリークの風力タービンの信頼性を高め、運用コストと保守コストを 65 % 削減しました。
水力施設の改修
世界の多くの地域では、水力発電ダムが地域社会の心臓部です。発電だけではなく、飲料水の提供、灌漑、レクリエーションの目的でも使用されています。 IEA によると、水力発電は今も最大の再生可能発電源です。
水力発電プロジェクトの中には発足後 100 年を超えるものもありますが、システム改修により、タービン制御、貯水池制御、エネルギー管理、機器保護の監視および改善が可能です。 そのためシャットダウン回数の削減、スタートアップの迅速化、より効率的なプラントオペレーションを実現できます。
40 年間操業されているサルトグランデ水力発電所では、このような大規模な最新化プロジェクトが進行中です。同発電所は、ウルグアイとアルゼンチンを分断するウルグアイ川の中流域にある 1,890 MW 規模の水力発電所です。 この 9 億 6,000 万ドルを投じた 30 年間のプロジェクトの第 1 段階で、ダムの 14 基の水力発電タービンの制御と監視を改善するためにエマソンの技術が採用されています。
石炭からバイオマスへの移行
よりクリーンな電力を供給するために、世界中で石炭火力発電所がバイオマス燃料施設に転換されています。 タービン、ボイラー、燃料ハンドリングおよびプラント補機(BOP)プロセスを含むすべてのアプリケーションを制御・監視するエマソンの単一統合型技術プラットフォームと、同社の確実なプロジェクト遂行の手法を組み合わせることで、これらの新規プロジェクトは予算内かつスケジュール通りに稼働開始することが可能になります。
バイオマス発電所は、バイオマス燃料の水分含有量が変動しやすく、プラント性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、運用が困難です。 エマソンのOvation技術は、燃料の水分含有量を継続的に監視し、必要に応じて燃焼空気を調整することで、プラント効率の最適化およびメンテナンスコストの低減を実現します。
エマソンは、EPH Lynemouth Power が 44 年間稼働してきた石炭火力発電所を、木くずを燃料とする新しいプラントに転換するプロジェクトをサポートしました。 同発電所は、完成時には最大 390 MW の低炭素電力を国内送電網に供給しました。
同様に、エマソンは、フランスのエネルギー事業者である Albioma から指名を受け、同社の Bios Rouge 石炭火力発電所を 100% 再生可能なエネルギーに移行しました。 総発電量 108 MW の火力発電所は、年間約 64 万トンの CO₂ に相当する温室効果ガス排出量を削減する予定です。これは、現在の運用レベルに比べて直接炭素排出量を 84 % カットすることを意味しています。
気候変動から私たちを守るものは何でしょうか? 強大な力や超人が突然現れ、私たちを救ってくれることを希望する人がいるかもしれません。 しかし現実には、私たち自身が自分たちの身を守らなければなりません。そのための最善策は、今すぐ行動を起こし、私たちの行動のほぼすべてを少しずつ改善して、必要な違いを日常生活の中で生み出すことです。