パワーダイナミックス = 無限の機会
著者: ボブ・イェーガー
世界の電力業界は、前例のない変革を進めています。 化石燃料から再生可能エネルギーへと移行する中で、公益事業はサステナビリティの目標達成に努め、信頼性のある手頃な価格の電力の供給を確保しながら、「あらゆるものの電化」を支援するインフラの拡張と近代化に取り組んでいます。
オートメーションは明らかにこの課題の解決に役立つソリューションですが、オートメーション自体も、エキスパートが膨大なデータ生成量を管理し、包括的な視点でオペレーションを把握できるように設計されたオートメーションアーキテクチャを再考する中で、移行期を迎えています。
エマソンは、より動的でシームレスなオートメーションインフラストラクチャのビジョン、Boundless Automation™ を推進しています。 この次世代オートメーションアーキテクチャは、データサイロを破壊し、データを自由に活用できるようにすることを意図して設計されています。将来を見越した最新の産業用コンピューティング環境、Boundless Automation は、世界の最重要産業(電力業など)が保有データから確実に最大限のメリットを引き出せるように、ソフトウェアの力を活用します。
エマソンの「Boundless Automation」ビジョンの実現に役立つ主要ツールの一部は、すでに整備済みです。多くは今度の Ovation Automation プラットフォーム 4.0 リリースに組み込む予定です。このリリースに組み込まれるソフトウェア定義アーキテクチャは、価値ある信頼性、安全性、製造、サステナビリティに関するデータを統合し、現場から会社までの電力網全体に提供します。これにより、ユーティリティ部門はオペレーションを最適化し、予測のつかない変化を見せる市場にも対応できます。
複雑化する一方の発電・保管・流通市場の、刻々と変化するニーズに対応するため、Ovation 4.0 オートメーションプラットフォームは、搭載する既存の技術と今後の技術の両方が、この Boundless Automation のビジョンを念頭に置いて設計されています。
エッジに向けた動き
より分散化されたエネルギー資源(DER)への移行が、電力業界で一部の特に大きな変化を加速させています。これらのリソースには複合発電プラント、風力発電所、水力発電所、太陽光パネル、バッテリー貯蔵、マイクログリッド、電気自動車充電ステーションなどが含まれます。この複雑な電力ポートフォリオを装備したユーティリティ部門は、Ovation 4.0 のグリッド・エッジ・エコシステムを頼りに、双方向のエネルギーの流れをリアルタイムで管理し、ネットワーク全体に分散データを配信します。
さらにグリッド・エッジ・コントローラは、DER 全体の局地的高速コンピューティング環境を通じて、グリッドよりも粒度の小さいビューを提供するため、豊富なデータが安全にオペレータからアクセスしやすい状態になり、負荷と需要をより適切に管理できるようになります。
リモート機能の強化
大量の定年退職と労働者不足に直面する中で、企業は知識を一元化し、規模の経済を活かそうとして、リモート・オペレーション・センターへの依存度が高まっています。 一元化されたオペレーションにより、ユーティリティ部門と発電会社は、より少ないリソースでより多くの成果を得る能力を獲得し、オペレーションの柔軟性を高めながら、コストを削減できます。 たとえばエキスパートがデータを分析して、個々の設備またはフリート全体の機器のオペレーションと劣化がもたらす長期的な影響を判断し、高コストな問題が形成される前に障害を予測・緩和することもできます。
今日の再生可能エネルギー発電施設やバッテリー貯蔵施設では、リモート監視の重要度が増しています。リモート監視は、必要なオペレータ介入が通常ごくわずかに限られるため、広範囲に適用される傾向があります。 チームは中央の施設からこれらのオペレーションを監視し、必要に応じて人員を派遣することができます。
エマソンは、発電分野で数十年間積み重ねてきた経験を活かし、リモート監視とリモート制御に最も適した高度なパターン認識と機械学習の技術スイートを開発しました。 弊社が新たに提供する Ovation 分析ソフトウェアとインテリジェンスのフレームワークは、AspenTech の Mtell® ソフトウェアと機械学習エンジンを活用して設備の正常な動作と異常な動作を自動的に学習し、継続的に予防保全を改善します。
人工知能(AI)の台頭
今日の電力業界の困難な状況には、問題が起きてから対処する戦略よりも予測的な対処が欠かせません。そこで高度な分析能力が重要な役割を果たします。 Ovation 4.0 オートメーションプラットフォームの、将来を見越した最新のコンピューティング環境により、エマソンは変革的な生成 AI(GenAI)を提供できるようになります。そうすれば迷いなく、複雑なデータで構成された大規模データセットのマイニングを行い、高度な分析能力を駆使して意思決定を下し、従業員に能力を提供、オペレーションを最適化できます。
エマソンは、GenAI のもたらす新たな機能と、生成 AI が将来の従業員にオペレーション全体で一段と迅速・安全で効果的な意思決定を下す能力を提供する機能に期待しています。 AI には今後、産業ソフトウェアで台頭する多様なイノベーションを支える力があります。以下はその一例です。
- リモートオペレーション - 多数の設備を監視する中央制御センターでは、AI が対処法ガイダンスを提供する自動監督機能として機能し、オペレータと連携して情報処理や意思決定を支援します。
- 信頼性の高い持続的なオペレーション - 生成 AI アシスタントが保守要件を予測し、オペレーションチームがセンサの故障、機械の摩耗、温度変動、圧力偏差といった一般的な信頼性の問題の影響を軽減できるようサポートします。 さらに、リアルタイムのデジタル・ツイン・シミュレーションと、プラント固有のオペレーション履歴、保守のトレーニングを施した AI モデルを組み合わせて、異常な状態を認識し、プロセスが基準のオペレーションから逸脱している状態と理由を特定します。
- グリッドの最適化 - AI 支援の予知保全により、制御プラットフォームが高度な状況把握を可能にするため、発電から供給までのオペレータの意思決定が改善され、結果としてグリッドの安定性が向上します。
- セキュリティ - 脅威の検出、応答の自動化、脆弱性の管理、セキュリティプロトコル全体を向上することで、堅牢な AI モデルをサイバーセキュリティ強化ツールとして使用します。
今日の環境では、業務効率を推進し、グリッドの信頼性と回復力を強化、脱炭素化目標を達成、AI をはじめとする新技術を活用するには、すべての部門が部門の違いを越えて効果的にデータを共有し、民主化することが、極めて重要です 。 より良いデータ管理のもたらす機会と影響は無限です。
業界がデジタルの未来へ進む中で、他社に先駆けて、お客様に廃棄・置換を強いることのない最新化プログラムを生み出す道を進んでいることは、私たちの誇りです。 弊社はお客のご意向一つでいつでもオープンアーキテクチャ方針で最新化を簡素化し、より効率的にデータを活用できる制御システムを装備できるようサポートします。