OT エッジ: 最新オートメーションアーキテクチャのバックボーン
エマソンのシステムおよびソリューション事業のテクノロジー担当バイスプレジデントである Claudio Fayad が、最新の OT エッジが現代の自動化におけるバックボーンとしてどのように機能し、インテリジェントフィールドからクラウドに至るまでデータへのアクセスを容易にするかを説明します。
10 人に「エッジ」の定義を聞くと、12 通りの答えが返ってくるでしょう。 エッジは数年前、コンピューティングネットワークの周縁部と、コンピューティング能力をその周縁部にさらに押し広げる戦略を言い表すものとして IT 分野で導入され、多くの解釈や定義が可能です。そしてそれらは、すべて真実です。 しかし、形成されつつあるエッジにはオペレーション技術(OT)固有の新しい定義があり、自動化の変革を加速させています。
企業は過去 40 年にわたって、生産効率や安全性を向上させ、設備の健全性に関する理解を深めるために、自動化技術に重点を置いて投資してきました。 従来のオートメーションアーキテクチャは比較的シンプルで、有線 I/O を介して現場のセンサやバルブを中央制御システムに、またはメンテナンス、信頼性、安全性など、他の機能に特化したソフトウェアシステムに接続させていました。 このテクノロジアーキテクチャの構造は 40 年前のものとほとんど同じで、唯一の大きな変化は 1990 年代半ばに起きたコンピューティング・プラットフォーム・テクノロジだけでした。
より多くのアプリケーションからより実用的な情報を得て、より多くの人により速く届けるという需要が高まる中、オートメーションアーキテクチャの根本的な見直しが進んでいます。 この新しいアーキテクチャのバックボーンとなるのは、OT 固有のエッジです。ここでは新しいテクノロジによってデータへのアクセスがより安全かつ自由になり、増加の一途をたどるテクノロジの密度に関する管理を簡素化しながら、オンプレミスとオフプレミスの両方ですべての運用レベルにコンピューティングの力を組み込んでいます。
OT エッジがオンプレミスコンピューティングのアーキテクチャを再定義する方法を示すいくつかの傾向を紹介します。
I/O とコントローラの分離: 現場の接続性において大変革が起こり、現場の機器をシステムに接続する方法が簡素化されます。 エマソンの CHARMS 技術は、初めてこの機能を提供したテクノロジでした。 まもなく、Ethernet-APL は進化を続け、イーサネットの力を利用して制御システムから I/O を分離します。 現在のプロトコルと同等のイーサネットにより、制御システムやクラウド分析に直接、より多くのデータタイプが導入されます。
ハイパーコンバージェンス: 制御システムの容量を拡張したり再構成したりするという考えは、従来、資本プロジェクトや、多額の費用、多くの時間を必要としました。 新しいハイパーコンバージドソリューションでは、コンピューティングリソース自体がソフトウェアを介して柔軟に機能区分されるため、そのパラダイムが変わります。新しい制御能力の導入は、従来の半分の時間で完了し、テクノロジのフットプリントも大幅に簡素化されます。これにより資本投資や新たな物理インフラを必要とせずに、速度と柔軟性の向上が実現します。
ソフトウェア定義の制御: 現在、分散制御システム(DCS)は、極端な温度や湿度、振動条件向けに設計されたハードウェアコントローラを使用して設計されていますが、実際にそれを必要としているアプリケーションはわずか約 25 % です。 ほとんどのコントローラハードウェアは、キャビネットに安全にしまわれ、温度と湿度が調整された部屋に置かれています。 ソフトウェア定義の制御により、ユーザは制御ソフトウェアとハードウェアを個別に選択したり、必要に応じて拡張したりすることができ、判断モデル、精度、システムの完全性を犠牲にすることなく、展開とシステム管理の柔軟性を実現します。
ソフトウェアのコンテナ化: 必要な OS カーネルの機能を保ちつつ、オペレーティングシステムからソフトウェア機能を分離することにより、インフラストラクチャ全体への軽量ソフトウェアコンテナの展開が容易になり、コンピューティングアーキテクチャとデータ活用の柔軟性とセキュリティが向上します。 ワークロードの展開は、ボトルネックを軽減し、必要とされる状況でソフトウェア機能へのアクセスを拡大することができます。
データファブリックの一元化: 分散標準データモデルと AspenTech の Inmation のようなデータ統合ツールによって、クラウド分析など、より多くのアプリケーションがより均一にデータにアクセスできるようになります。 OT エッジ全体に導入された一元的なデータファブリックは、インテリジェントフィールドとクラウドを接続し、場所を問わず適切な人にコンテキストデータが届けられるため、あらゆる場所から専門家によるサポートを受けられ、容易な分析と新しい運用モデルが提供されます。
IT/OT テクノロジの統合: IT と OT が企業のセキュアな接続性と、OT システムと IT プラットフォーム間の統合性を高めるために、より緊密に連携する必要があります。この点において OT エッジは両分野の主な統合ポイントとして機能します。 この融合により、エマソンの DeltaV™ エッジ環境などのテクノロジを使用した企業全体での DCS データ展開が容易になります。
安全でオープンなアクセス: 従来型のオートメーション・セキュリティ・ソリューションは、プラント環境内のデータアクセスを制限します。 エマソンの AMS Device Manager データサーバなどのツールによって作り出される、よりオープンでありながら安全なアクセスは、専門家がリモートで機器の健全性に関する是正措置を監視・助言できるようにして、オンプレミスのリソースに関する優先順位付けを促進し、応答時間を加速させます。
人工知能、機械学習、デジタルツイン、組み込み型コンピューティングなどのイノベーションは、より豊富なデータセットとより簡単なアクセスに対する需要を高めています。 中央システムがより強力な計算能力を提供するだけでなく、今ではほとんどすべての設備や資産も、即座に、オンボードでソフトウェアによる計算タスクを実行する可能性を秘めています。 これを可能にしているのは、最新の OT エッジです。
電力業界には、素晴らしい成功事例があります。 世界的なネットゼロ目標により、再生可能エネルギー源を用いた電力への需要が高まっています。 より柔軟な制御ソリューションに対する需要を強くしている分散型発電により、「グリッド」の構造そのものが変わりつつあります。 その結果、送電網のインフラストラクチャにおける回復力、柔軟性、応答性が一層重要になります。 エマソンの Ovation™ グリッド・エッジ・ソリューションは、現場機器、分散制御システム、グリッド管理ソフトウェアから解像度の高いグリッドデータを提供するのに役立ちます。 グリッド・エッジ・コントローラは、制御センタだけでなく現場にまで制御オプションを広げますが、電圧制御システム、ブレーカ、ソーラーアレイなどの分散型エネルギーリソース(DER)、電気自動車の充電器といった設備を監視および制御する必要があります。
このような高度なテクノロジは、企業が運用モデルを進化させ、数年前の時点では夢見ることしかできなかった方法でクラウドベースの企業運用とエンジニアリングを可能にするのに役立っています。 これを実現するためのバックボーンが、OT エッジです。
「Innovations in Automation」で Boundless AutomationSM の詳細をご覧ください。